2016年12月12日月曜日

重ね茶碗 茶事 今と昔

現在の「重ね茶碗」(島台茶碗も含む)は、多人数の客に濃茶を振舞う為のものであるが、
昔の重ね茶碗は、小人数の客にも用いられた。

天王寺屋会記には、
永禄11年(1568年)5月11日の津田宗及の自会(客3人)の茶事で、
「灰被天目 志野茶碗 二ツ重而茶立候」 (灰被り天目 志野茶碗 二つ重ねて茶点て候)
と出ている。

灰被天目茶碗と志野宗信旧蔵の青磁茶碗の唐物2椀を二つ重ねて持ち出して点前をしている。

重ね茶碗の点前は、室町時代から既に行われていたのが分かる。

江戸時代後期(文政10年11月、1828年)にも、十代 吸江斎が紀州徳川家 治宝公に、旦入作の小振りの島台茶碗でお茶を差し上げているので、まだこの時代にも小人数の茶事にも重ね茶碗が使われているのも分かる。


天王寺屋会記 :
堺の豪商 天王寺屋 津田宗達・宗及・宗凡三代の自他会記。
1548年~1590年。

下記も参照
2014年11月9日 「島台茶碗 如心斎 重ね茶碗
2015年12月23日 「重ね茶碗 島台茶碗 客の作法
2015年12月23日 「重ね茶碗 島台茶碗 亭主の点前 炉
2015年2月8日  「会記  茶会記


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2016年12月6日火曜日

置き道庫 広間 炉 濃茶

家元の祖堂は、道安囲いになっており、点前座の勝手側(左側)には引き戸が付いて、道庫が仕組まれている。
この道庫には底が付いておらず、持ち運びが出来るようになっている。

このような道庫を広間に置いて、棚物として使う特殊なやり方がある。
台目棚と同じ様に、広間で小間の台目切りの稽古をする為に、道庫を棚として使っていると思われる。

水指、茶入、茶碗の置き様は、小間本勝手台目点と同じにする。 (台目棚の時と同じ)

水指は、道庫の中、右半分の中央、奥行きの真中。
茶入は、道庫の手前、左右中央。
茶入と茶碗は、道庫の手前、左右中央に置き合せる。

水指は、運び。

身体は外隅中心に座る。

茶入の仕服は、緒つがりを持ち、左手で道庫の竹釘に、緒の輪の方を掛ける。
仕服の口は、道庫の奥の方を向く。

茶入と茶筅も、道庫の手前、左右中央に置き合せる。

居前から水指の蓋を取る時は、右手→左手→右手、
蓋をする時は、そのうち返し。

御三器拝見の時、
茶入を取る時、身体は棚正面に向く。
茶杓を取る時、身体は居前に向いて取る。 女子は棚正面に向いて、茶杓を取る。
仕服は、居前から左手で取る。 女子も同じで居前から左手でとる。

柄杓と蓋置を飾る時は、棚正面に向き、建水の上から左手で柄杓を取り、右手で道庫の右側に打ってある竹の柄杓釘に掛ける。

柄杓は、湯返しをしない。

次に、蓋置を左手で取り、右手で柄杓の柄の下辺りに置く。



下記も参照
2021年6月19日 「竹の蓋置
2016年12月1日 「柄杓湯返し 竹蓋置 広間
2016年3月5日 「抱清棚
2014年11月3日 「仕服の紐 緒縒



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2016年12月1日木曜日

柄杓湯返し 竹蓋置 広間

柄杓の湯返し

棚として作ってある物(棚)に、柄杓を飾り残す時には、基本的に湯返しをする。
塗りの棚でも木地の棚でも、湯返しをする。
桐木地の丸卓、木地の旅箪笥も同様で、湯返しをする。
棚ではないが、風炉の大板の場合も、湯返しをする。
蓋置も焼物の蓋置を使う。

水に濡れる物として作ってあるものに、柄杓を置き(飾り)残す場合は、湯返しをしない。
平水指の蓋、水ガメの蓋、大口の蓋など。
但し、ツマミが付いている蓋には、柄杓蓋置は置き残さない。
ツマミが邪魔になるからである。

柄杓を飾り残す場合には、蓋置も一緒に飾り残す。
その場合の蓋置は、竹を使わない。 焼物などを使う。

大瓶水指、大口水指
 柄杓は、湯返しをしない。
 普通、蓋置は焼物を使う。
 竹の蓋置を使う時には、柄杓蓋置共に置き残さない。

平水指
 柄杓は、湯返しをしない。
 蓋置は、普通、焼物を使い、置き残す。 竹の場合には、柄杓も共に持って帰る。



抱清棚 (水指は運び)
 柄杓は、湯返しをしない。
 蓋置は、竹を使う。


抱清棚のように、柄杓釘がある棚では、柄杓の湯返しはしない。

抱清棚や台目棚、置き道庫などの小間の雰囲気を広間で味わおうとして工夫されている棚では、
竹の蓋置を使うが、小間と同じように柄杓蓋置を飾り残す。
柄杓の湯返しはしない。小間の場合と同じ様に扱う。

抱清棚では、中の棚板を引き出して、旅ダンスと同じく芝点の扱いも出来る。


風炉 大板 (水指は運び)
 柄杓は、湯返しをする。
 蓋置は、普通、焼物を使い、飾り残す。 竹の場合には、柄杓も共に持って帰る。 



なお、
風炉 中置の場合も水指は運び出すが、敷板は小板であるので、
柄杓・蓋置を飾り残すことはない。
よって、柄杓は、湯返しをしない。 又、蓋置は竹を使う。


竹台子 風炉一つ置き (水指は運び)
 普通、蓋置は焼物を使い、柄杓も飾り残す。柄杓は湯返しをする。
 竹の蓋置の場合には、柄杓は湯返しをせず、柄杓蓋置共に持って帰る。



大棚、長板 二つ飾 ・・・ 「風炉釜」 「水指」を飾る。
 天板の中央に茶器を飾る。
 竹の蓋置を使う。
 柄杓・蓋置は、台子・長板の左端前の畳の上に蓋置を置き、柄杓を引く。
 柄杓・蓋置は、台子・長板には飾り残さず、水屋に持ち帰る。
 薄茶点前に限る。


下記も参照
2021年6月19日 「竹の蓋置
2016年5月11日 「風炉 大棚、長板
2015年5月27日 「竹蓋置
2014年10月21日 「柄杓と蓋置 扱い
2015年2月17日 「青竹の蓋置、灰吹き 茶事
2015年2月17日 「黒文字 青竹 保存方法
2015年10月6日 「柄杓・蓋置 飾り残し
2016年1月11日 「柄杓を構える 左手 握り方
2016年4月6日 「大水指 大壷水指 炉
2016年4月7日 「大水指 大口 炉
2016年8月16日 「平水指 割蓋
2016年3月5日 「抱清棚
2014年11月23日 「竹台子 一つ飾り

2016-12-25 修正
2018-12-16 追加


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